カエルの可愛いイラストに琥珀色の生ビール「Otton Organic Beer」。あるようで無かった「オーガニック生ビール」が、COMMUNE 246のヴィーガンフード・スタンド『CORI.』に登場しました。オーガニックビールをつくるというのは、マイクロ・ブルワーならではなのだと、「Otton Organic Beer」を販売するココノホップ創始者であり代表の采女さんは語ります。
Otton Organic Beer
軽井沢発のオーガニック・ビール・ブランド。厳選したオーガニックモルトとオーガニックホップのみを使ったプレミアムビールをつくる。地元・長野のイベントを中心に、東京「Aoyama Farmer’s Market」などにも出店。今回、都内で初めて『CORI.』で生ビールを常設で提供する。
Words & Photography: Tomohiro Mazawa
ココノホップ代表の采女さん
「Otton Organic Beer」は小規模ながらもオーガニック生ビールに挑戦するなど、個性豊かなブルワーのひとつです。しかし采女さんがもともと勤めていたのは大手地ビールメーカー。退職をして自分のビールをつくるとき採用した醸造方法は、以前の勤め先のそれとは全く異なるものでした。
「以前の勤めていたメーカーはエールビールがメインだったので熟成期間が1ヶ月でした。熟成期間が少ないエールビールには残糖感があります。しかし、まずは日本人に馴染み深いキレのあるビールを作りたかった。ですから、Ottonでは長期熟成をしています。軽いわけではない飲みやすさ。それは苦味、甘さ、コクのバランスが絶妙だからなのです。」
采女さんが自ら「Cori.」の店頭に立ってビールを提供した
たとえば「ブルックリン・ラガー」など、多種多様で、パワーのあるマイクロ・ブルワーが存在する欧米。一方で日本は状況が異なります。
「アメリカやヨーロッパでは、クラフトビールのシェア2割はマイクロ・ブルワーです。『Whole Foods Market』*に行くと、棚の半分以上がマイクロ・ブルワーだったりします。バラエティの豊富さが非常に魅力的なのです。しかし日本では1%にも満たないんです。それに大手メーカーのビールを目隠しして飲んだら、違いなんかほとんど分からない。それほど、市場に出回る日本のビールは味が似通っていると思います」
実際にいま、バランスの取れた「Otton」以外にも、様々な風味のビールを試作中なのだそう。まさにマイクロ・ブルワーならではの柔軟さ。この融通性は、オーガニックビールにも相性がぴったりだったのです。
「欧米のビールをみたとき、各銘柄に1品種はオーガニック原材料を使ったビールがあります。しかし、日本でオーガニックビールを手に入れようとするのは困難ですよね。もし大手メーカーがオーガニックビールに参入しようとすると、オーガニック認証を受けるために、大きな工場に多額の投資をして改築する必要があります。僕らがオーガニックビールを作れているのは、マイクロ・ブルワーという規模だからということのも、ひとつの理由です。」
「Otton Organic Beer」のラベルにはカエルのイラストがあしらわれている
オーガニックなビールをつくることは、オーガニックな価値観を広めることにもつながるのだと語ります。
「『Otton』はカエルという意味です。カエルは環境にとても敏感で、生物多様性の象徴ともいえます。たとえオーガニックのことに関心がない人でも、皆が飲むビールをきっかけに、環境のこと、健康のことを考えてもらえたらなと思いますね」